不貞慰謝料とは
不貞行為とは、配偶者以外の人と性交渉を行うことを言います。
夫婦は互いに貞操義務を負っており、不貞行為を行った場合には、離婚原因になったり(民法770条1項1号)、不法行為に基づく損害賠償(719条)の原因になったりします。
また、不貞行為の相手方(要は浮気相手)も同じく損害賠償義務を負います。
この不貞行為による損害賠償義務を一般に「慰謝料」と呼んでいます。
通常は、不貞行為(性交渉)がなければ慰謝料は発生しませんが、それに至らない浮気であっても不貞慰謝料の請求を受けるケースがあります。
不貞慰謝料の請求額の相場としては、最初は300万円~500万円程度で主張されるケースが多いです。
不定慰謝料を請求された場合にまず取るべきステップ
不貞の疑いを告げられたり、不貞慰謝料の請求書が届いた場合には、拙速な対応は厳禁です。
状況を見極めて適切に対応する必要があります。
①反論は後回し | その場で反論や言い訳を行うことは適切ではありません。相手が証拠収集のために録音などをしながら話を聞いている場合があります。 矛盾した言い訳や、安易な認容はあとで取り返しがつかなくなってしまいます。落ち着ていて、②番以降の対応を行いましょう。 |
②相手が主張する「不貞」の内容を確認する | 相手が「いつ」「どこで」「誰と」不貞行為をしたと主張しているのかを落ち着いて確認します。 あなたに思い当たるところがあっても、相手が主張している不貞とは別であるかもしれません。 |
③「不貞」が存在するかを確認する | 相手が主張する「不貞行為」が実際に存在するのか、それとも相手の勘違いなのかを確認します。 |
④証拠があるかを検討する | 相手の主張内容から考えて、相手が証拠を持っていそうかどうかを検討します。 不貞の事実は相手が証明しなければならないため、証拠がなければ裁判では請求が認められません。 |
⑤弁護士に相談 | 状況を整理したら、早めに弁護士に相談しましょう。 「いけるところまでは自分で!」と先延ばしをすると、どうにもならなくなってから相談に行く事態が発生してしまいます。 |
慰謝料を減額するための交渉のポイント
証拠の有効性、事実の法的意味などを意識して、「相手が証明できる不貞の内容」とそれに応じた適切な慰謝料額を検討します。
その上で、その金額に近づけるように交渉をしていきます。
当然、この検討では弁護士のサポートを受けることが望ましいでしょう。
交渉の場面で「不貞の事実」を認める必要はありません。
慰謝料ではなく「解決金」としたり、不貞ではなく「疑われる行為をしたこと」に対する損害金とするなど、裁判で争う余地を残した言い回しで交渉をしましょう。
交渉をまとめるために、うっかり不貞の事実を認めてしまうと、裁判に移行した時に不利になります。
不貞の相手方(浮気相手)の場合には、既婚者であることを知らなかったことなども重要な反論要素となります。
慰謝料請求が裁判になった場合の対応方法
裁判になった場合には、通常は弁護士が対応するため、依頼者自身が裁判で勝つ方法を心配する必要はありません。
むしろ、裁判に至る前に、裁判で不利になるような行動をしていないことが重要になります。
重要なポイントを挙げておくと、「不貞の事実や内容」を主張・立証するのは相手であるというところです。
こちら側から、「不貞が存在しないこと」を立証する必要はありません。
つまり、「不貞をしていない証拠がない」ことを心配する必要はありません。
不定慰謝料問題を弁護士に相談するメリット
不貞慰謝料の問題を専門家に依頼するメリットとしては次のものが挙げられます。
妥当な解決結果が得られる | 不貞慰謝料については専門的な法律知識がなければ適切な反論ができません。 このため、相手に押し切られたりして、過剰な慰謝料の支払いを約束してしまうリスクがあります。 専門家に依頼することで、法的に妥当な解決結果を得ることができます。 |
相手に会わなくてよい | 不貞慰謝料の問題では、相手が非常に感情的に主張を行ってくるため、この対応をすることは大きな心理的ストレスになります。 専門家に依頼することで、このストレスから解放されることができます。 |
終局的な解決ができる | 相手が感情的な場合には、合意をしても蒸し返されるなど、いつまでも解決しないという事態が発生します。 専門家に依頼することで、終局的な解決を実現することができます。 |
不定慰謝料に関するよくある質問
Q 不貞慰謝料は減額できますか? | 法的に適切な反論を行うことで、多くの場合は減額できます。 特に証拠が不十分な場合には、完全に支払を免れたり、大幅な減額も可能です。 |
Q 不貞慰謝料を支払わないとどうなりますか? | 交渉段階か訴訟になったかで異なります。 交渉段階:この時点では、支払わないことで不利益は発生しません。次の訴訟に移行する可能性があるだけです。 訴訟途中:この時点でも、特に不利益は発生しません。ただし、適切な対応を行わなければ、不利な判決が出る可能性があります。 判決後:判決が出たのに支払わない場合には、財産や給料を差し押さえられる場合があります。 |
Q 会社に知られることはありますか? | 通常はありません。 ただし次のような場合は知られる場合があります。 連絡がつかない場合:請求者からあなたに連絡がつかない場合には、連絡を付ける手段として、会社に連絡することが正当化される場合があります。 弁護士に依頼して通知をしておくことで、会社に連絡をすることを防ぐことができます。 判決が出たのに支払わない:判決が出たのに支払わない場合には、給料の差し押さえられることがあり、これによって会社に知られる場合があります。 弁護士に依頼して、適切な訴訟追行をしたり、判決後遅滞なく支払手続きをすることで会社に知られることを防ぐことができます。 |
Q すぐに支払った方がいいですか? | すぐに支払う必要はありません。 判決が出るまでは猶予があるので、落ち着いて法的な反論を行いましょう。 |
費用
交渉のみの場合 | 受任時:33万円(税込) 終了時:22万円(税込) |
訴訟になった場合 | 期日日当:3.3万円/日(税込) ※裁判に出席する期日ごとに発生します |