お正月に発生した航空機事故について、航空鉄道事故調査委員会(事故調査委員会)による調査と、警視庁による調査が行われています。
この2つの調査は目的が全く異なるため、アプローチも異なってきます。
事故調査委員会は、事故の原因を特定し、再発防止のために何が必要かを検証するための調査を行います。
例えば、今回の事故であれば、なぜ離陸機が滑走路に進入してしまったのか、管制の指示を誤解する原因は何だったのか、着陸機が離陸を認識して回避できなかった原因は何だったのかなどの調査を行います。
その上で、管制の指示方法の見直し、プロトコルの見直し、衝突防止装置の搭載など必要な施策を検討することになります。
ここで重要なことは、誰が悪いかの調査を目的にしていないことです。
一方で、警視庁(都道府県警)による調査は、誰かに対して刑事責任を問う必要があるかを特定することを目的にしています。
ここでは、誰(管制、離陸機、着陸機)がどれくらい悪いか(過失があるか)特定することを目的にしています。
事業会社として参考にすべき部分
このように、事故の調査においては2種類の目的があり、それによって調査方法がことなります。
事業会社においても、何らかのトラブルが発生した際に、原因調査を行う場合があります。
このとき、誰が悪いの調査を行いやすくなり、従業員としても「自分は悪くない」という主張を行いたくなります。
その場合には、適切な原因究明や解消ができず、トラブルが繰り返されるという事態が発生します。
調査時には、原因究明と再発防止が目的であり、従業員の責任追及はしないことを明言するなどした上で調査を行うことが、会社の将来の利益の観点からは重要になります。