従業員に残業をさせると、当然残業代を支払う義務があります。
では、支払わなかったらどうなるでしょうか?
もちろん、後から請求されるわけですが、「それなら実際に請求されてから対応すればいいのではないか?」というわけにはいきません。
請求時期と請求額
賃金の時効は3年です。
このため、多くの場合は、従業員が退職するときに3年分をまとめて請求することになります。
遅延損害金
さらに従業員の退職後は14.6%という大きい遅延損害金が発生します。
この遅延損害金は訴訟継続中も溜まっていきます。
また、訴訟には一般に1~2年かかります。
このため、訴訟終了までの間に、本来の支払額の30%ほどの遅延損害金が付くことになります。
付加金
さらに付加金という制度があります。
裁判所は未払残業代と同じ額の付加金の支払いを命じることができます。
分かりやすく言うと、残業代が支払われていなかったことの罰則として、本来の金額の2倍の金額を支払わせることができます。
残業代請求額を増やすテクニック
また、退職を決めた従業員が残業代を増やすテクニックがあります。
例えば、意味もなくたくさん残業したり、ゆっくり仕事をしたり、仕事を増やしたりすることがあり得ます。
仕事がないのに大量に残業をしても、本来は残業代の支払義務はありません。
しかし、残業代を支払っておらず、残業時間の管理をしていないような会社の場合には、そのことの立証は困難になります。
さらに、残業が美徳の会社になっていると、従業員のそのような行為を、「やる気を出し始めた。」と誤信してしまう場合もあります。
残業代の未払は大きな法的リスクになる上に、従業員のやる気にも関わります。
さらに、そのような情報が拡散されると従業員の確保にも支障をきたします。
従業員を雇用する場合には、労働時間や残業代の管理は十分に行いましょう。