ChatGPTで契約書をチェックする方法と注意点

最近のAIの進歩は素晴らしく、ChatGPTのように誰でも簡単に使えるAIサービスも多く出ています。
便利なのは分かったけれども、それを活かすにはどうすればいいか悩んでいるという方も多いのではないでしょうか?
ここではChatGPTの活用方法として、契約書チェックへの利用を紹介します。

契約書チェックにChatGPTを活用するメリットとは?

契約書チェックにChatGPTを使うことには様々なメリットがあります。

法律知識がなくてもチェック可能契約書をチェックしようとすると、法的な知識が必要になります。
ChatGPTを活用することで、法的な知識がなくても簡単に契約書をチェックすることができるようになります。
数秒で効率的にチェック可能契約書をすべて読もうとするとかなりの時間がかかります。
ChatGPTを活用することで、わずか数秒で契約書のチェックが完了します。
契約リスクを管理できる中小企業の場合には、知識や人手などのリソースが原因で、契約書は読まずにハンコを押しているというケースも少なくありません。
ChatGPTを活用することで、リソースを気にせずに契約書をチェックできるようになり、契約リスクの管理が可能になります。
専用サービスよりはるかに安い一般的な契約書AIは10万円~/月というものが多いです。
ChatGPTの月額使用料は3~4,000円/月(2024年時点)であり、かなり安くなっています(しかも、契約書チェック以外にも使えます。)。
契約書チェックにChatGPTを活用するメリット

ChatGPTが可能にする契約書チェックとその限界

一方で、いざChatGPTに契約書チェックをさせようとしてもうまくいかないと思います。
これにはChatGPTの使用方法やできることに限界があるためです。

プロンプト(指示文)の作成に専門知識が必要AIに上手く指示をするためには具体的に指示をする必要があります。
このため、適切な指示を行うためにはAIと法律の両方の知識が必要になります。
契約書チェックの専用AIではないChatGPTは専用AIに比べて特別な学習はされていません。
このため、専用AIに比べると回答の質は劣ります。
法律の専門家(弁護士)ではないChatGPT(他の契約書AIも)法律の専門家ではないため、見つけたリスクポイントについてどのように対応するべきかなどの指摘は上手くありません。
このため、重要な契約については専門家である弁護士のサポートを受ける必要があります。
経営の専門家(あなた)ではないChatGPTは経営の専門家ではないため、契約書チェック結果をもとに経営判断をすることはできません。
指摘されたリスクをもとに経営判断をするのは、経営の専門家が行う必要があります。
ChatGPTを契約書チェックに使う限界

ChatGPTで契約書をチェックする際の事前準備

ChatGPTの回答は完璧ではありません。
また、ChatGPTは契約の周辺事情は知りません。
このため、これを前提にChatGPTで契約書チェックを行う前に行うべき事前準備が必要になります。

ChatGPTに任せてよい契約書かの確認ChatGPTによる回答は完璧ではないことを前提にして、重要な契約書は専門家にチェックを依頼することになります。
そこで、「●万円以内の取引に限りChatGPTに任せる。」などの基準を作る必要があります。
形式部分のチェックChatGPTは売買代金や契約当事者の名前は知りません。
このため、代金が違っていたり、取引相手の名前が間違っていたりしても、指摘できません。これらの形式部分は自身でチェックする必要があります。
取引内容の確認ChatGPTは本来の取引の内容は知りません。
このため、売主が納品する約束のものが、買主が取りに行く内容になっていても指摘できません。想定通りの取引になっているかどうかは自身で確認する必要があります。
ChatGPTで契約書をチェックする際の事前準備

契約書のチェックについてはこちらのページもご覧ください。

チェックした後の活用方法

ChatGPTは契約書中のリスク内容を指摘することはできますが経営者ではありません。
このため、チェック結果を利用した経営判断は経営者(あなた)が行う必要があります。

例えば、「成果物の著作権が委託者に帰属することになっており、受託者に不利な契約書になっている。」というチェック結果が出たとします。
これは、「その契約をしてはいけない。」という意味ではなく、「そのリスクを踏まえて取引が得であるか判断しなさい。」という意味になります。
そして、その判断は経営者自身が行う必要があります。

プロンプト作成の重要性と弁護士の専門知識の役割

ChatGPTに質問をして適切な回答を得るには、「具体的な質問」と「回答方法の指定」がポイントになります。

具体的な質問悪い例:この契約書をチェックして。
良い例:この契約書に受託者に著しく不利な条項があれば指摘して。
回答方法の指定悪い例:質問だけで何も指定しないなど
良い例:①条項を引用して指定して
    ②どのようなトラブルになるか例示して。
ChatGPTへの質問のポイント

また、具体的な質問をするためには、何を聞くべきかを知っている必要があります。
弁護士であれば例えば次のような質問をします。

例1:著しく不利な条項があれば指摘して
例2:曖昧で解釈違いでトラブルになりそうな条項があれば指摘して

ポイントは「何を知りたいのか」を意識してそこから逆算していくことです。

ChatGPTで契約書をチェックする際の注意点

ChatGPTで契約書をチェックする場合には次の点に注意してください。

機密保持ChatGPTを使用する場合は、機密情報がAI学習を通じて流出しないように、入力情報を学習に使用されないように設定する必要があります。
完全な回答ではないChatGPTの回答は完全ではないので、重要な契約書などは専門家のチェックを依頼しましょう。
回答にムラがあるChatGPTを使用している人は分かると思いますが、同じ質問をしても毎回少しずつ違う回答が出てきます。
このため、何度か同じ契約書をチェックさせて回答漏れがないようにしてみましょう。
ChatGPTで契約書をチェックする際の注意点

AIと弁護士の役割を組み合わせた効果的な契約書チェック

ChatGPTは日常の契約書チェックを効率的行うには非常に便利です。
一方で、ChatGPTには任せられず弁護士に依頼すべき事項も存在します。
そこで、次のような役割分担(使い分け)をするのがよいでしょう。

ChatGPT日常の契約書の簡易のチェック
弁護士契約書チェックのためのプロンプト作成
重要な契約書のチェックや作成
ChatGPTと弁護士の役割分担

効果的な役割分担(使い分け)をすることで、日常の契約業務の効率や迅速性を確保しつつ、適切なリスク管理が可能になります。

まずはAIを活用して契約書チェックを始めましょう

ChatGPT(有料版)は3~4,000円/月です。
まずは一度始めてみましょう。触りながら覚えるのが一番の上達の近道です。

プロンプト作成や活用方法のサポート、重要な契約書のチェックなどはお問い合わせページからご相談ください。
初回相談(電話・Zoom)は無料としています。